老後の生活を支える老齢年金。年金を受け取り始める年齢を本人の意思で早めたり遅らせたりすることができます。60歳から70歳まで変更可能だった制度が4月から、受給開始を75歳まで遅らせることができるようになりました。
今回は、産経iD会員を対象に「年金受給に関するアンケート」と題して実施したアンケート結果を紹介。年金生活の実態を見ていきましょう。
公的年金がある生活をしている121人に、年金生活についての満足度を5段階評価で尋ねたところ、「大変満足」「やや満足」と合わせて、半数以上の人が「満足」と回答しました。
満足と回答した方のコメントとして、「ほぼ予定通り(計算通り)の金額が、定期的に振り込まれて、計画的な生活ができてます」(60代男性)、「贅沢さえしなければやっていけると思う」(60代女性)、「心に余裕を持って生活できるようになった」(70代女性)、
「公的年金のみの収入では心細い。個人年金を少額ではあるが掛けていたので良かった」(70代男性)などが見られました。
一方、「やや不満」「大変不満」と回答した方のコメントでは、「雀の涙」(女性)、「年金生活者に対する税金や国民健康保険料等々の多さに驚いた。年金受給前に貯金をある程度しておいたことで、生活の心配はないが、余裕のある気分になれないのが現状」(男性)、「45年勤め、定年後は厚生年金で生活できると考えていたが、目論見が崩れ預金がどんどんなくなり慌てている」(60代女性)といった声がありました。
また「年金だけの生活は確かに厳しいが、自分が考えていたよりも楽しい。お金に余裕がある訳ではない。年金生活はこれまでよりかなり苦しいが、自分の時間と自由があるのは、本当に充実している。年金は少ないが、働かなくてもらえるお金は贅沢です」(60代男性)という声もありました。
厚生労働省が行った年金制度基礎調査(老齢年金受給実態調査、2017年12月実施)によると、本来65歳から支給される支給開始年齢より早く受給し始めた人は11.9%。繰上げ受給をした理由として、「減額されても、早く受給する方が得だと思ったため」(20.2%)、「年金を繰り上げないと生活出来なかったため」(16.9%)、「生活の足しにしたかったため」(15.0%)の順となっています。他方、年金を繰下げ受給をした人は1.3%でした。
年金は定期的にお金が入ってくる点で心強く、一生涯にわたっての生活を支える基盤です。余裕がある年金生活を送るには、自分のもらえる額を知り、いつまで働いて年金受給を開始するのか、私的年金の積立や貯蓄などを含め、どうすれば安定した生活が長く続けられるかという視点で、受給開始時期を考えるべきなのでしょう。