1994年の9月4日に大阪府の泉州沖に関西国際空港(以下関空)が開港しました。同時に大阪国際空港(伊丹)から、国際線が関空に移転しました。また国内線も一部の路線が開設されています。その後は格安航空会社(LCC)が相次いで関空に路線を開設し、コロナ禍以降はインバウンド需要で国際線利用者が大幅に増えています。
くらするーむでは関空開港30周年を機にアンケートを実施しました。
【調査概要】
調査対象:関西在住の方(大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県)
有効回答 643人(男性 413、女性230)
調査期間:2024年8月9日~8月19日
今回のデータレポートは開港30周年を迎えた関空に対するみなさんのイメージ、関西主要3空港の使い分け、なにわ筋線開通の影響などについてご紹介します。
まず国際線利用時の意向についてご紹介します。
海外旅行経験のある方に、最も多く利用した空港を尋ねたところ関空が4分の3を超えました。開港から30周年を迎え、利用経験のある方も多くなっています。
関空の利用が多かった理由を尋ねました。
利用する航空便の都合による選択が多いですが、関空が近いという回答も多いです。成田空港や中部国際空港と比べれば関西在住の方にとって関空は「近い」存在となります。
また関空以外を利用することが多かった方にも理由を尋ねました。
こちらも航空便の都合による選択が多いですが、「関空が遠い・不便」との声もあります。関西からでも大阪空港から成田(または羽田)乗り継ぎという手もあり、その方が便利という方もおられます。
続いて国内線の利用について尋ねました。国内線は関西では大阪空港、神戸空港および南紀白浜空港や但馬空港もあります。
国内線はほぼ3分の2の方が大阪空港利用でした。地域による違いはあり、関空に近い泉州地域や和歌山県北部では関空派が圧倒的に多くなっています。以下に大阪府、和歌山県北部の各地域の回答を掲載します。
大阪、関西、神戸の主要3空港のイメージを比較してみました。
「交通アクセスが良い」は圧倒的に大阪空港でした。大阪市内各地を結ぶリムジンバスが充実していること、また千里中央、門真市を結ぶ大阪モノレールが空港の前まで乗り入れていることなど、大阪市内や北摂からは便利です。また「使い慣れている」「観光に便利」「ビジネスに便利」でも関西主要3空港の中ではトップでした。
関空は「運行時間帯が長い」「格安航空会社の便が多い」「大手空港会社の便が多い」「設備が良い」というポジティブな評価と、「遠い」というネガティブな評価が目立ちました。
騒音問題のため大阪空港の運行時間帯が限られていることもあり(午前7時から午後9時)、関空の24時間体制が評価を受けていました。また格安航空会社(LCC)が関空に多く乗り入れていることもよく知られているようです。
「設備が良い」は、関空は国際空港の設備やサービスの評価で世界1位を獲得したこともあり、今回のアンケートでも良い評価となっています。
神戸空港も関空に負けず劣らず「遠い」との評価がされていますが、それ以上に「特にイメージがない/わからない」との回答の多さが目立ちます。2006年の開港で歴史が浅いこともあり、神戸地区以外では存在感が薄いようです。
なおこのアンケート結果が産経ニュースの「もう「遠い空港」じゃない関空 新線開業で大阪中心部へアクセス向上 大阪市外への周遊が課題」に掲載されております。
https://www.sankei.com/article/20240905-M7D2HTQVYNPAJKC2F6KPR4A7FI
2031年にはJRと南海に「なにわ筋線」(大阪駅~JR難波駅、南海新今宮駅)が開業し、大阪駅(梅田)から関西空港が44~45分で結ばれる見込みです。途中中之島、西本町(いずれも仮称)に駅が設置されるため、大阪市内中心部と関空のアクセスが大幅に改善されます。
それを示したうえで、なにわ筋線開業により関空の利用機会が増えるかどうかを尋ねました。
利用が増えそうという方は31.3%でした。その内訳はどうでしょうか。
なにわ筋線のメリットを受ける大阪市内や北摂地域では高い期待がうかがえます。直接の恩恵はない泉州や和歌山県北部でも「増えそう」との回答が多いのは、なにわ筋線開通後の航空便の増便などに期待しているのかもしれません。
回答者の年代別に比較してみます。
また、なにわ筋線開通(2031年)の頃に飛行機を利用する機会が多くなりそうな20代や30代は開通への期待が高いことがわかります。
今回は開港30周年の関西国際空港についてのレポートでした。今後もタイムリーな話題でアンケートを実施し、レポート化していきます。