新NISAについてのデータレポートの2回目です。まずは時代ととも投資の対象がどう変化したかについて、NRI生活者1万人アンケートの結果をご紹介します。
*NRI生活者1万人アンケート調査 金融編(2022年)
この表は投資開始時期別の初めて資産運用を行った商品を示したもので、株式と投資信託をおして2020年以降はNISAが株式・投資信託を上回るものとなっています。
そしてさらなる投資行動を促進すべく抜本的な改革がなされた新NISAですが、どのくらい新NISAは普及し、利用されているのでしょうか。
◆新NISAの利用度:調査結果
「聞いたことがない」が2.1%と、ほとんどの人に知られている新NISAですが、実際にやっていると答えたのは全体の約3割ほどでまだ多くの人が検討中であったり、名前は聞いたことがあるけどよくわからないという状態なようです。
そもそもNISAとはどのような制度で、新NISAとは旧NISAとどんな点が変わったのでしょうか。
NISAとは簡単に言えば、株式や投資信託の利益に通常かかってしまう約20%の税金が、NISA口座内で購入したこれらの金融商品に対しては一定額内であれば非課税になる、という制度です。
約20%もかかっていた税金がかからないのですから投資をしている人にとっては非常にオトクな制度です。一言で新NISAから旧NISAの変更点を説明すると、税金がかからない期間がより長くなり、そして税金がかからない限度額が大幅に引き上げられたという点です。
この表は「新NISAをはじめたきっかけ」についての調査結果ですが、「旧NISA時代からしていた」が8割超、そして「新NISAの情報に触れて」13.1%、「旧NISAの不満点が新NISAで改善されていたので」が10.0%という結果で、多くの人が旧NISAからそのまま移行してきたようです。
ここからは、新NISAをしている人たちがどんな理由で・どこから学んでいるのかについてアンケート結果を見ていきましょう。
まず、「新NISAをしている」と答えた回答者に、「NISAをしている理由」について答えてもらいました。
「老後の資金づくりのため」が57.4%、「余裕のある暮らしをするため」が32.9%、「投資の収益で暮らしていくため」が29.5%、「子育てや教育の資金作りのため」が6.3%とそれぞれのライフステージに合わせて生活の資金をつくる理由でNISAをしている人が多いようです。
それ以外にも「銀行金利が低いため」が39.5%とマイナス金利政策の影響も大きく見られました。この点に関しては、このアンケートの実施後である3月19日に日銀より2016年よりつづいたマイナス金利政策の解除が発表されたことが話題となったため、今後投資行動にどのような変化が見られるかも注目すべきポイントになりそうですね!
〝マイナス金利〟解除、住宅ローン変動金利に上昇圧力 7月返済分から新金利適用も – 産経ニュース
「自分で調べた」が67.1%、「本を読んだ」が16.2%、「YouTubeやブロガー、インフルエンサーなど」が8.6%と、ネットの記事や書籍、ブログ、インフルエンサーの動画などで独学でNISAについて勉強している人が多いようです。一方で、「証券会社や銀行の人から聞いた」が29.5%、「セミナーに参加した」が8.6%、「知っている人から教えてもらった」が6.3%とNISAの知識のある人から直接教わるという人も一定数いました。
一方で、MUFG資産形成研究所が2021年4月に行った学生の投資に対する意向調査では、学生のうち資産形成に関して「特に情報収集・学習したことはない」と答えた回答者が男性は約3割、女性は約5割という結果で高校や大学における金融・投資リテラシーの教育は進んでいないことがわかります。
次回は、ひとくちに新NISAといっても選択肢は多様、ということで新NISA利用者は“どの枠で”、“どの商品に投資しているのか”に関するアンケート結果についてお知らせします。
【調査概要】
調査対象:有効回答 2009人(男性 1342、女性660、性別無回答7)
調査期間:2024年3月7日~17日